@Name (式言語)

階層名を操作します。階層付きの名前を階層なしの名前にしたり、階層なしの名前を階層付きの名前にしたりします。また、名前の特定の構成要素だけを取り出すことも、階層名でビューを分類できるように構成要素の順序を逆にすることもできます。

名前を Domino 形式から LDAP 形式に、またはその逆に変換できます。

注: LDAP 形式への変換は Release 6 で新しく追加されました。

構文

@Name( [ action ] ; name )

パラメータ

[ action ]

キーワード。名前に対して実行する処理 (階層名への変更、省略形への変更、変換など) を指定します (実行できるアクションのリストを参照してください)。

@Name で実行できるアクションは以下の通りです。

[A]

階層名の ADMD コンポーネント (公衆管理ドメイン名) を返します。

[ABBREVIATE]

階層名からコンポーネントのラベルを削除した略称を返します。表示用の領域が節約できる上、見やすくなります

[ADDRESS821]

注: このキーワードは R5 で新しく追加されました。

元のアドレスの形式が RFC 821 または RFC 822 のどちらであるかに関わらず、インターネットアドレスを RFC 821 アドレス形式の構文に基づくフォーマットで返します。大文字小文字は正確に入力してください。

[C]

階層名の国/地域コンポーネントを返します。

[CANONICALIZE]

略称に欠落しているコンポーネントとそのラベルを追加して、略称を展開します。欠落しているコンポーネントは、Domino ディレクトリからではなく、現在のユーザー ID から取得されます。

[CN]

[G]

階層名の名前コンポーネント (名前のファーストネーム部分) を返します。

[HIERARCHYONLY]

注: このキーワードは R5 で新しく追加されました。

階層名の CN コンポーネントを削除し、残りのコンポーネントを返します。

[I]

階層名のイニシャルコンポーネントを返します。

[LP]

注: このキーワードは R5 で新しく追加されました。

RFC 822 アドレス形式に基づく標準インターネットアドレスのローカルパートを返します。

[O]

階層名の組織コンポーネントを返します。

[OU n ]

階層名の指定された組織単位コンポーネントを返します。n は 1 から 4 の値で、OU1 のように指定します。正規形の名前では、OU コンポーネントに番号が付けられません。ただし、このコンポーネントは最初から順にカウントされて、最初に出現した OU ラベルが OU1、2 番目が OU2 (以降も同様) として扱われます。[OU] は、Notes/Domino ではキーワードとして受け入れられません。

[P]

階層名の PRMD コンポーネント (私的管理ドメイン名) を返します。

[PHRASE]

注: このキーワードは R5 で新しく追加されました。

RFC 822 アドレス形式に基づく標準インターネットアドレスのフレーズパートを返します。

[Q]

階層名の世代コンポーネント (「Jr」など) を返します。

[S]

階層名の姓 (ラストネーム) コンポーネントを返します。

[TOAT]

注: このキーワードは Release 6 で新しく追加されました。

Domino フィールド名を指定すると、LDAP AttributeType 名が返されます。

[TODATATYPE]

注: このキーワードは Release 6 で新しく追加されました。

LDAP Syntax 名を指定すると、Domino データ型名が返されます。

[TOFIELD]

注: このキーワードは Release 6 で新しく追加されました。

LDAP AttributeType 名を指定すると、Domino フィールド名が返されます。

[TOFORM]

注: このキーワードは Release 6 で新しく追加されました。

LDAP ObjectClass 名を指定すると、Domino フォーム名が返されます。

[TOKEYWORD]

ネーミングコンポーネントの表示順序を逆にして、スラッシュを円記号に置き換えます (例えば、Country¥Organization¥Organization Unit...)。このオプションは、ユーザーの階層名のコンポーネント別に、ビューをカテゴリ化する場合に役立ちます (円記号はビュー内のサブカテゴリを示します)。 [TOKEYWORD] オプションを指定しても、ユーザー名の共通名部分は返されません

[TOOC]

注: このキーワードは Release 6 で新しく追加されました。

Domino フォーム名またはサブフォーム名を指定すると、LDAP ObjectClass 名が返されます。

[TOSYNTAX]

注: このキーワードは Release 6 で新しく追加されました。

Domino データ型名を指定すると、LDAP Syntax 名が返されます。

name

文字列または名前、または文字列または名前のリスト。任意の形式のユーザー名またはサーバー名 (完全な階層名が自動的に取得され、要求した構成要素が返されます)、または LDAP 形式から Domino 形式に、あるいはその逆に変換する LDAP AttributeType 名、ObjectClass 名、Syntax 名または Domino フォーム名、サブフォーム名、フィールド名、データ型名です。

戻り値

formattedname

文字列または名前、または文字列または名前のリスト。最初のパラメータに準じた書式を持つ 2 番目のパラメータ。

使用法

@Name は、特にビューで階層名を省略するときに便利です。

2 番目のパラメータがリストである場合、この関数はリストの各要素ごとに処理され、戻り値は同じ数の要素を持つリストになります。

階層名は、フルネーム、組織単位、組織、国や地域といった一連の構成要素で修飾されます。階層名を使用すると、ユーザーやサーバーの名前が重複しないことが保証されます。

データベース設計者は、Notes アプリケーション内でユーザー名がどのように入力され表示されるかを管理する責任があります。操作を簡単にするために、ユーザーが名前を省略形で入力できるようにします。その名前を、@Name を使用して正規の基準書式 (階層付き) に展開します。同様に、@Name を使用して、保存されている名前を正規の基準書式 (階層付き) から省略形に変換して表示します。

名前フィールド、読者フィールド、作成者フィールドを使用する場合、階層名は表示や保存に適した書式に自動的に変換されます。ユーザーが省略形の名前を入力すると、その名前は保存されるときに基準書式に展開されます。名前は常に省略形で表示されます。

階層名のフィールドの内容をビューに表示する場合は、自動的には変換されず、名前の基準書式が表示されます。@Name を使用して名前を省略形に変換するとよいでしょう。

@Name を使用してインターネットアドレスを解析するときは、アドレスは標準 RFC 821 または RFC 822 アドレス形式に準拠していなければなりません。

注: 既存のユーザー ID と共にパラメータ A、G、I、P、Q、または S を指定した場合、これらのパラメータが機能していないように見えることがあります。これらのパラメータは外部メール製品やゲートウェイ製品で使用されるアドレス方式を利用するために追加されたパラメータです。メールメッセージを外部メールソースから Notes/Domino 内に受信するとき、命名規約に構成要素を追加することができます。@Name 関数を使用してこれらの追加構成要素を含む階層名を操作できます。Domino の ID と名前ではこのような追加構成要素は使用されないため、この 6 種類のパラメータを標準の Domino ID や名前と共に使用することはできません。

すべてのパラメータを利用する完全な階層名の例を以下に示します。

G=Joe/I=JS/S=Smith/Q=Jr/CN=Joseph Smith/OU=Assembly/OU=Engineering/O=Acme/P=PrivAdmin/ A=PubAdmin/C=US

  1. 次の例では、文書の [AUTHOR] フィールドに Mary Tsen の名前が階層形式で表示されている場合に、Mary Tsen/Illustration/Documentation/Development/R&D/WorkSavers/US が返されます。
    				@Name([ABBREVIATE];AUTHOR)
  2. 次の例では、Mary Tsen が返されます。
    @Name([CANONICALIZE];"Mary Tsen")

    名前の後にスラッシュがないため、これは階層名ではなく、ほかの構成要素もありません。

  3. 次の例では、現在のユーザー ID、例えば CN=MaryTsen/ OU=Illustration/OU=Documentation/OU=Development/OU=R&D/O=Acme/C=US が返されます。 名前には、現在のユーザー ID の階層が追加されます。Domino ディレクトリの検索は行われません。
    @Name([CANONICALIZE];"Mary Tsen/")
  4. 次の例では、文書の [AUTHOR] フィールドに CN=Mary Tsen/OU=Illustration/O=Acme が含まれている場合、Mary Tsen が情報ダイアログボックスに返されます。
    @Prompt([Ok]; "Common Name"; @Name([CN]; AUTHOR))
  5. 次の例では、Development が返されます。
    @Name([OU2];AUTHOR)
  6. 次の例では、US¥Acme¥R&D¥Development¥Documentation¥Illustration が返されます。 スラッシュが円記号に変換されているため、名前の構成要素がビューのサブカテゴリとして使用できます。共通名部分は返されません。
    @Name([TOKEYWORD];AUTHOR)
  7. 次の例では、[User_Name] フィールドに RFC 822 形式のインターネットアドレス "Streitfeld, Sara (Miami)" <SStreitfeld@gazette.com> が含まれている場合、SStreitfeld が返されます。
    @Name([LP];User_Name)
  8. 次の例では、[User_Name] フィールドに RFC 822 形式のインターネットアドレス "Streitfeld, Sara (Miami)" <SStreitfeld@gazette.com> が含まれている場合、"Streitfeld, Sara (Miami)" が返されます。
    @Name([Phrase];User_Name)
  9. 次の例では、[User_Name] フィールドに RFC 822 形式のインターネットアドレス "Streitfeld, Sara (Miami)" <SStreitfeld@gazette.com> が含まれている場合、SStreitfeld@gazette.com が返されます。
    @Name([ADDRESS821];User_Name)
  10. 次の例では、[User_Name] フィールドに John Doe/Cam/が含まれている場合、Cam/が返されます。
    @Name([HIERARCHYONLY];User_Name)
  11. 次の例では、"secretary" が返されます。これは、Domino 用語 "assistant" に対応する LDAP AttributeType 名です。
    @Name([TOAT];"assistant")
  12. 次の例では、"Internet Address" が返されます。これは、LDAP AttributeType 名 "mail" と等価の Domino 用語です。
    @Name([TOFIELD];"mail") 
  13. 次の例では、"Number" が返されます。これは、LDAP データ型 "Integer" と等価の Domino 用語です。
    @Name([TODATATYPE];"Integer")
  14. 次の例では、"Directory String" が返されます。これは、Domino データ型が "Text" である場合に LDAP ディレクトリで使用される構文です。
    @Name([TOSYNTAX];"Text")

  15. 次の例では、"Mary Tsen" と "Jacques Blanc" がリストで返されます。
    @Name([CN]; "Mary Tsen/Acme/US" : "Jacques Blanc/Acme/FR")

クロスリファレンス

LotusScript® NotesName クラス

Java™ Name クラス